私と同様、自粛生活をしている同門の友人Yさんから、
昨夜久しぶりに電話があった。
「お互い大変やね。その後どう?」
とひとしきり挨拶した後、
「実はね、A師匠が亡くなったって。」
と。
A師匠は私が高校時代からお世話になっていた
ピアノの師匠です。
日本とドイツを行き来しながら、
たくさんのピアニストを育てられました。
学生時代から何度も厳しいレッスンを受けましたが、
人間的に可愛らしいところがあって、
レッスンが終わると
「腹減ったなぁ。何か食べに行こう!」
とよく食事に連れて行って下さいました。
昔から私の両親のこともいつも気にかけて下さって、
父が亡くなった時にも、
ドイツから心温まる言葉を送って下さいました。
卒業後アンサンブルを中心に活動を始めたこともあり、
ソロの演奏の機会がめっきり減って疎遠になってしまって、
コンスタントにはなかなかレッスンにも通えずにいましたが、
数年前にその友人Yさんとピアノデュオで演奏会をする際には、
何度もレッスンをお願いして通いました。
その頃には既に体調を崩しがちだった師匠も、
デュオのレッスンは実に楽しそうで、
厳しくも愛情深く導いて下さいました。
人間的にも音楽的にも懐が深くてチャーミングで
本当のところまだまだ教わりたいこともあります。
最近はご病気のせいで行き来もできないままだったようで、
まだ若い門下生の方々はさぞ無念だと思います。
こんなご時世ではありますが、
感謝の気持ちは音楽を続けていくことでしか表せないので、
自分なりに粛々と音楽と共に生きていこうと思います。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。