にらもやしとまとの日記

さすらいのぴやの弾きのたわごとです

賢治さんとトシさん。

昨日TOKYO CANTATで、
「賢治さんに会いたい〜宮澤賢治の言葉と音楽〜」
というコンサートにCANTUS ANIMAEと出演してきました。

賢治さんと言えば、
数年前、不思議な体験をした事があります。

その年、CANTUS ANIMAEは
コンクール課題曲にも自由曲にも賢治さんのテキストの曲を選んで練習していました。
東京某所でのCAの練習に向かおうと、一人で歩いていると、
「お姉さん、お姉さん。」
と声がしました。
振り返ると、小学生低学年くらいの男の子と、
幼稚園くらいの女の子が立っています。

「僕たち、マクドナルドへ行きたいんだけど、
道がよく分からないんです。連れて行ってもらえませんか?」
「ごめんね。お姉さん、この辺りの人間じゃないから、
道をよく知らないんだ。」
「駅前にあるのは知っているから、
駅まで連れて行ってもらえばいいんです。」
駅までならなんとか分かるので、連れて行ってあげる事にしました。
「お母さんは?」
「お仕事。おばあちゃんも出かけたから、
お昼にはこれ使って食べなさい、って。」
と、男の子は手にクーポン券を握りしめています。
女の子の方は、というと、
いつの間にか私の左手をぎゅっと握って歩いています。

お店の前まで行って、
「買っておいで。ここで待っててあげるから。」
と言うと、二人でお店に入って行きました。
しばらく待っていると、袋を抱えて出てきて、
「ありがとうございました。」
と頭を下げて男の子が言いました。
「ここからは帰れるかな?」
「うん、たぶん。。」
気になるので、出会った交差点まで一緒に戻る事にしました。

すると、雨が降り出しました。
「傘持ってないよね。よし。走ろうか。」
男の子は袋をだいじそうに抱えて、
私は女の子を抱き上げて走りました。
女の子は私の頭の上に手をかざして言いました。
「雨に濡れちゃうよ。」

交差点まで戻ると、
男の子はまた深々と頭を下げて、
「ここで大丈夫です。ありがとうございました。」
と言いました。
「さ、雨がひどくならないうちに帰らなきゃね。
気をつけてね。」
「さようなら。」
「さようなら。」

なぜあの時あの交差点で、二人が他の人ではなく私に声をかけたのか、
それが巡り会わせのような気がしてならなかったのです。
私がその頃ずっと賢治さんとトシさんの事を頭に描いていたから、
ただそう見えたのか、それとも何かの啓示だったのか。

偶然にしては出来すぎた、
小さな兄妹との出会いでした。